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「馬鹿、女は殺すな。」
と気を逸らした瞬間、騎士は目前のサーベルを打ち払い、御者に駆け寄る。手から血を滴らせている男は、半弓の矢の向きをその騎士へと変えて放つが、肩口に当った矢は何事もなく弾かれ、弓を掲げた開いた左脇下を剣で払われ落馬した。
仲間を一人倒されたのを見た五騎は、激昂することもなく反対に冷静になったように馬車を背にした騎士を半包囲する。全員がサーベルだ。
「手当すればまだ助かるぞ。邪魔はしない。それで手打にしないか。」
「弓持ちで態々近寄ったこの野郎が間抜けだったんだよ。まあ、手当ぐらいはしてやるさ、あんたの頭をかち割ってからな。」
先程までの盗賊の目ではない、戦士の冷徹な目が五対が騎士を見つめる。
とその一人の首筋に棒が生えたと思うにそのまま落馬する。
確認しようとそちらを向いたもう一騎の左目に矢が突きさる。絶叫するが落馬はかろうじて免れた騎手は、無意識なのだろう反対方向へとだく足で馬を進めた。
残りの三騎はすばやく視線を交すと、二十数メートル先で大弓を馬上で構えた射手へと突撃した。すばやい判断。
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