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魔法陣。
魔導書。
異世界。
「ありえない」
信じる、信じない、信じたい、信じ難い。
その本は確かに、魔導書であり異世界のことが書かれており魔方陣が記されていた。
残るは鍵。鍵さえ見つけることができたなら、そこに行ける。
行きたい、行ける、行けない。
本を閉じた。金庫にしまい、家に帰ろう。
遠くで電話が鳴っている。
誰かとるだろうと思っていたが、なかなか電話は鳴りやまなかった。
随分遅くまで居残っていたようで、もしかすると他に誰もいないのかもしれない。急用だったら大変だと、資料室を出た。少し慌てて出たせいか、後ろで盛大な物音がしたが、今は電話だ。
※
西に共和国、北に帝国を望む位置にある小さな島、グルクルソッホ。
現地の古語に曰く、黒(グルクル)、水(ソッ)、湧く(ホ)。
黒い水、あるいは燃える水と呼ばれるものが湧いて出る。
燃えるのだ、水が。
その水を得たものは、それは限りない可能性に満たされることだろう。
その小さき島を所有するのは、島の南に位置する小国ゼゼウ。
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