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 年若い女王の治める、農業国。その女王は破壊神と呼ばれていた。若いのは見た目のみで、実際は三百有余才だとの噂がまことしやかに囁かれてもいる。  その日、グルクルソッホ島、略称グ島では、破壊神率いるゼゼウの軍勢百と、帝国軍二千が対峙していた。  帝国の兵は不死であるという。叩けども痛みを感じず、切っても怯まず、ひたすら無表情に無音に進軍する。  開戦の号砲がどちらから響いたのかわからない。  ゼゼウの小さな軍は、瞬きする間に帝国の不死の軍隊に呑まれていった。  ゼゼウの兵がどれほど矢を射ようと、槍で突こうと、帝国の兵は陣容を崩すことなく進み続けた。  本当に不死の軍であるのかもしれない。  迫りくる帝国の不死の軍団を迎え撃つ女王。  グルクルソッホを渡すわけにはいかない。  近隣諸国でもっとも旧態依然とした暮しを続けるゼゼウにとって、グルクルソッホは神の宿る神聖な島であり、祭祀を行うに不可欠な場所だ。  帝国兵は銃を構えている。  この戦争の為開発された新式の兵器。ひとたび引き金を引けば、その銃口から雷火のごとき電光が迸り、対峙したものを焼き尽くす。  兵は毅然と立つ女王目がけ怖ろしきいかずちを次々と放った。  破壊神の右肩が吹き飛んだ。  ※ 「勝てるかよ、こんなもん」     
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