黒い浮遊霊

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 心当たりのない俺は、目撃者を探すしかない。監視カメラもあるはずだ。幽霊だから、するっと見たり聞いたりできそうだ。  踏切に行くと、電車の運行は再開していたが、まだ警察官が2、3人うろうろしていた。  警察官の一人が近所の家に向かっていたので後をついて行ってみた。  その家の人も、俺が電車にひき飛ばされるとき、踏切の反対側にいて、電車が通る直前に俺が誰かに突き飛ばされるところを見たらしい。帽子とマスクで顔は分からなかったが、たぶん若い女だったという。警察官の話でも線路の傍のカメラにその女がうつっていたという。  女に恨まれるような話はがんばっても思い出せないのだが。  結局、若い女って以外は、何にも手がかりはつかめず、あとは警察が何とかしてくれるだろう、ということで犯人捜しは諦めた。 (死ぬと執着心もなくなるんだなあ)
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