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地面に叩きつけられた私の死体は酷いものだった。それを自分で見なければならないなんて。
誰も私を見ない。私の声は聞こえない。何年も大好きだったあの人を見ることはできても、私に気づかない。何か影響を与えることもできない。
幽霊は生きているときの姿で見えるなんて嘘。幽霊が祟ったり、呪ったりできるなんて嘘。
生きている人間に加える力なんてない。ただ、どす黒い意識がそのまま形になった、どす黒い私。ただ彼のこれからの人生を、見続けて行くだけの存在。
これは罰なのでしょうね。でも私には褒美でもあるわ。
踏切で彼を突き飛ばして、でも殺し損ねて、生きて罪を償うことなく、ベランダから飛び降りて自分を殺した私。
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