黒い浮遊霊

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黒い浮遊霊

「ドンっ」  背中を強く押されて、一瞬の激しい痛みのあと、俺は目を覚ました。 (どこだろう、ここ?)  踏切にいたはずの俺は、今、家の窓の外から中を覗いていた。母さんが泣いている。 (俺。死んだのか?)  幽霊になったってことだとすると、やらなければならないことがあるはず。ここはやっぱり、犯人探し!  恨まれて殺されるようなことをした覚えはまったくないのだが、気づかぬうちに誰かを傷つけてしまったのだろうか。うらめしやー、と復讐に行くのではなく、犯人にきちんと罪を償ってもらいたい、という気持ちでいた。 (死ぬと心が広くなるのかなあ)  成仏できずに幽霊になってるんだけどね。
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