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ルイスは必死に目を開ける。
青年のすぐ脇に、誰かが立っているのが見えた。
小さな少年がこちらを見ている。金色の髪は肩まであり、静かに輝いていた。青い瞳は深く、底が知れない。
「…………」
白昼夢だろうか。
その少年はあまりに美しく、まるで天使のように見えた。感情の読み取れない眼差しが、音もなくこちらを見下ろす。
ルイスが唇を開いた瞬間、彼はぱっと駆け出した。
白い光の中、その背はどんどん遠くなっていく。少年はあっという間に木々の彼方へ消えてしまった。
「げほっう……かはっ」
咳き込んで、青年が身を起こす。
ルイスはハッとして、慌てて彼の背を支えた。
いつしか青年から放たれた光は弱まっている。呪いの渦は光に呑み込まれ、何事もなかったかのように消えていった。
きっとさっきの少年は幻か何かだろう。それよりも今は、目の前の青年を落ち着かせるのが肝心だ。
「おい、大丈夫か」
顔を覗き込み、まっすぐに見つめる。
彼は答えない。
それでもルイスは、青年が生きていることにひどくほっとしていた。横顔を見つめながら、そっと口を開く。
「顔色が少し良くなってる。……やっぱりあの魔法、万能みたいだな」
なんとか笑いかけると、ベルナールが鋭くこちらを睨んだ。
「……あんた……」
その目から、一筋の涙が零れ落ちた。
「あんたなんか、大嫌いだ」
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