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無感動な声に、気持ちが落ち込みそうになる。だからルイスも、無理矢理こじつけることにした。
「言っておくけど、禁忌の魔法がなければお前は死んでたんだ。僕はお前を助けてやったんだからな。面倒を見る権利がある。いいか、勝手に逃げ出すなよ」
我ながら汚いやり方だとは思う。
けれど、こうでもしないとこの男は、万全でない体調のまま、どこかへ消えてしまうだろう。先ほどからずっと、ちらちらとこちらの隙を伺っているのだ。
もし逃げられたら、エドワードの言っていたように、二度と姿を現さなくなるかもしれない。
そんなの御免だった。
ベルナールは渋々、ルイスの言い分に納得しているようだった。
時折苦虫を噛み潰したような顔をしているが、ルイスは気づかないふりをした。
これ以上傷つくのは、明日でいい。今日は色々ありすぎたのだ。助けを必要としないこの男の態度も含め、一度に正面から向き合うのはなかなか耐えられそうになかった。
運がいいのか悪いのか、宿は一室しか空いていなかった。
ガーランドは距離の保ち方を分かっているため、今まで同じ状況になっても、特に問題はなかった。必要な時は外に出ていてくれるし、気を使ってどこかへ行っていることも多い。
だが、ベルナールは別だ。距離感がいまいちつかめない。
しかし、彼はまだふらふらしているし、エドワードとは違い、頑なにこちらを男と思い込んでいる節がある。おかしな心配をする必要もないだろう。
何より、彼を一人にするのが心配だった。
どうにか自分を納得させ、ベルナールを連れて二階の部屋へと上がる。
「なんなんだ、こんな所へ連れて来て。あんたが何考えてるかさっぱりだ」
ベッドに無理矢理押し込まれたベルナールは、ため息をついてこちらを見た。
「大体同じ部屋だなんて。どうかしてる」
「それは僕も思う。だからルールを決めよう」
ルイスはなんとか明るい声で提案した。
「片方が着替えている時は、もう片方は部屋を出ること。あと湯浴みの時間はきっちり決める。相手が使っている時は、絶対に邪魔はしない」
不自然じゃないように、最低限のルールを述べる。女として絶対に譲れない部分はあるのだ。守ってもらわないと困る。
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