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私はなんというか、言ってしまえば今時な感じの女子高生ではない。恰好は普通だけど、そこまで人付き合いは上手く無いし。髪も染めないしカラコンもしない。眼鏡を掛けた日陰者って感じだ。
そして運動も出来ない。だから文科系で、図書室で勉強している事が多い。体育は大体ドベだし。だからスポーツ出来る人が羨ましいと感じている。じゃあ男の人に対してどんな事を考えているのかと言えば、別に何も思っていなかった。男子の友人も居なかったし。
だからかな。クマと出会って、触れて、感じてからの自分は間違いなく違うと思っている。
「クマはさ……」
「ん?」
「私の何処を好きになったの?」
「またそれ?」
「またそれ」
だから聞いてしまうのだ。面倒臭い女だと言われようと、気になってしまうのだ。私は私の良い所を1つも知らないから。
クマは毎回そんな私に朗らかに笑い、膝に乗せてゆらゆら揺れながら応えてくれる。揺り籠に包まれている様な気分になって落ち着くのだ。
「のんちゃんは……なんかこう、なんだろう……?ああ、そうだ。雑草なんだ」
「え”っ」
雑草……雑草の様な根性があるということだろうか?がっ、違うらしい。
「雑草ってね、自分で環境にあった大地を選んで生えるんだって。そこに根付いて、自分が一番生きているんだぁ~って、宣言通りに一番強い生命力を持つんだってさ」
「……つまり?」
「のんちゃんは、僕っていう大地に根付いて、これでもかぁ~~ってアピールし始めたよね。そういう感じが好きだなぁって」
「……」
「あらあら」
もう限界だったので、彼の温もりに包まれながら不貞腐れる事にした。お弁当は思いっ切り沢山作ってプレゼントしてやる。覚悟するが良いよ。
「のんってさ。あのデカいのの何処が良いの?」
数少ない友人にそう聞かれて、私は気付く。どうしよう……
「有り過ぎて休み時間中には言い切れないかもしれない」
「じゃあ止めとくわ」
「むぅ……」
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