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俺のつま先まで来て止まった彼女は、キラキラした目で言った。
「こんにちは!DIY樹海店の斎藤です」
「はあ?」
そう言いたかったが、喉が渇いて声にならない。
口をパクパクさせている俺に、斎藤と名乗った少女は、再び元気な声を発した。
「DIY樹海店へようこそ!」
俺は自分の喉に気を使いながら、ゆっくり声を出してみる。
「ようこそって…来たのはそっちだけど…」
しゃがれていたが、今度は発声できた。
少女は少し考えてから「気にしないでください」とニッコリ微笑んだ。
“いや、気になるけど…”
この状況を理解できず、まだ呆然とする俺に、彼女はさらに話しかけてくる。
「そんな事よりお客さん、お困りでしょう」
「…」
何も答えない俺に「お困りでしょう?」と彼女は繰り返し、今度はその文末に決定的な一言を付け加えた。
「死ねなくって」
「えっ」
俺はフリーズした。
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