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図星だったのだ。
そう…俺は、このどうしようもない人生を終わらせようと、国道139号線の路肩に車を停め、ガードレールを飛び越えて樹海に入った。
そして何もかも一切を断ち切ろうと、木々の間を全力疾走したのだ。
だが運動不足から、わずか一分で息が切れ、それからダラダラと森をさ迷い、今に至ると言うわけだ。
そう思い出したところで、弾んだ声が俺の回想を遮った。
「いるんですよね~衝動的に死のうとして樹海に飛び込んで「しまった!思ったより死ねない。何も持ってない。お腹すいた。喉渇いた」ってね」
“そうでしょ!”と言わんばかりに、彼女は得意気な目で俺を見下ろしている。
言い返す元気もなければ、ごまかす言葉もない。こんな年端も行かぬ少女に見透かされて悔しいが、事実その通りだった。
力なくうなづく俺に、彼女はにっこり笑った。
「そんなニーズにお応えして、DIY樹海店では、さまざまな自殺道具を数多く取り揃えています!」
「…」
“DIY樹海店って…もしかして、その屋台の事なんだろうか?”
よく見ると、屋根の上に『DIY樹海店』と書かれた看板がある。屋台にはロープや刃物や銃器など、普段目にするモノから見た事の無いモノまで、所せましと陳列されているではないか。
彼女はちょこんと膝を曲げ、屋台をそっと接地させると、いぶかしげな表情を浮かべている俺の事などまったく気にせず、嬉々として商品の説明を始めた。
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