5人が本棚に入れています
本棚に追加
「こちらは首吊りコーナーです。ロープ各種。ベルトに電気コード、ウェアラブル端末の充電コードなんかもあるんですよ…試着してみます?」
俺は手を振った。
「そうですよね。わたしもお勧めしません。死ねなかった時、色々大変ですから。あとは、服薬、出血死、飛び降り、毒ガス…」
彼女はよほど上機嫌なのか、鼻歌を歌いながら次々に自殺道具の説明をしている。
「練炭、七輪、目張りテープ、一酸化炭素、二酸化炭素、ヘリウムガス、青酸カリ、硫化水素…」
思考の鈍った俺には、鼻歌混じりのその言葉が、商品名なのかラップなのか、よくわからなくなってきた。
“まったく、変なヤツに出会ったもんだ”
俺はうんざりした。
“どうなってるんだ、面倒くさい。もう早く終わりにしてくれ!”
俺は呻いて重い腕を持ち上げと、正面のゴツい銃を指し声を振り絞った。
「その銃で、俺を殺してくれ!」
最初のコメントを投稿しよう!