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ネトゲ友達
これはオンラインゲームが好きな雄吾という友達から聞いた話だ。
あいつはいつもネットゲームに夢中で、ゲームのなかで知り合った友人たちと仮想世界を冒険するのが楽しくて仕方がないらしい。
ギルドという集団をつくり、メンバーで助け合いながら遊ぶのは本当に面白いのだという。
『なぁ、雄吾。復活の欠片を持ってないか?』
ある日、ギルドのメンバーで特に仲がいい啓介という男ににチャットで声をかけられた。
ネットゲーム上の性別や年齢などアテにならない、とは言いつつも雄吾は年齢も近くノリも合う啓介と意気投合していたそうだ。
啓介が言う復活の欠片というのはゲームで敵にやられてしまったとき、生き返るのに必要なアイテムらしい。
『ぜんぜん足りないんだ。持っている分、全部くれよ』
『無茶いうなって啓介。俺だって持っていないと危ないし』
『頼むよ雄吾。レアアイテムと交換でもいいし、買い取ってもいいから。復活の欠片が必要なんだよ』
啓介はよほど復活の欠片が欲しいのか、何度断ってもしつこく食い下がってきた。レアアイテムと交換してまで欲しいなんて、どうかしたのだろうかと雄吾は心配に思った。
『なんでそんなに復活の欠片にこだわるわけ? 難易度高いところにいくなら一緒に行こうぜ!』
『そうじゃない。とにかく必要なんだよ、頼むよ。なぁ、復活の欠片持ってるんだろ。あるだけ全部くれよ、お願いだよ』
なんだか嫌な感じもしたし、ちょっと気持ち悪くなって『悪いけど、クエストいくから』といってその時は啓介とのチャットを終了したという。
メッセージにもしつこく通知がきたけれど、それも見ないふりをして過ごす。
だけど、雄吾は先ほどまでの啓介の豹変ぶりに落ち着かず、その日は一日ゲームに集中することができなかったらしい。
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