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焦る橘をよそに、なんだか楽しそうな廣瀬さんが印象的で、この二人はきっと信頼し合ってるんだろうな…そう感じた。
それに、プライドの高いこいつがそんな事を言ってたことにも正直びっくりで、でも、何より俺は嬉しかった。
それは、俺と同じでちゃんと会いたいと思ってくれてたから。
嬉しくてこっそり隣を覗き見すると、耳まで真っ赤にした橘は窓の外を眺めてて、俺は思わず吹き出しそうになってしまった。
……可愛い、ヤツ
俺様でいつも強引なのに、廣瀬さんには適わないってことか。
「あ、あの……廣瀬さんはいつからこいつの世話してるんですか?」
「優人坊っちゃんがお産まれになってからずっとです」
「爺は親代わりのようなもんだから……」
そっぽを向いたまま橘がそう口にするその声は、少しだけ寂しげに聞こえた。
「坊っちゃんが小さい頃から旦那様も奥様もお仕事が忙しく、私がお側に居ることが多かったですからね……」
「………そっか」
金持ちは金持ちなりに大変なんだな。
俺みたいに弟でも居ればまた違うんだろうけど……
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