第9章 真夜中の密事

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それに、反対に聞きたいくらいだ…… 「俺たちって……今も付き合ってるんだよな?」 曖昧なまま待つより、ちゃんと聞きたかったから、俺は躊躇いつつも問い掛けた。 『………当たり前だろ』 「……………よかった…」 モヤモヤしてた気持ちが、少しだけすっきりして、ホッとしたのも束の間で、胸がチクチクするのはやっぱり消えない。 『…………なぁ?』 「なに?」 『………一時間後、』 「え………?」 『学校帰りにいつも歩いてた公園で……待ってる』 「えっ?!でも……おまえ……」 『明日早朝の便で発つから時間はない。でも、やっぱり………オレも渚に会いたい……だから、公園で待ってる』 橘に会える…… 嬉しい…… すげー嬉しい…… でも…… 「でも俺………」 『大丈夫だよ、渚は悪くない。オレが我慢出来なかった…それだけだ』 そして、最後に“来るまで待ってるから”と言われ、電話は切れた。 会ったらきっと別れがもっと辛くなるだろう…… だけど、俺は単純で馬鹿だから、そんな後のことなんてどうでもよかった。 とにかくアイツに会いたい…… ただ、それだけ……
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