第3章 春雷

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バラバラだった心のパズルは、 少しずつ、少しずつはめ込まれていくようで、 橘への想いを埋めてくみたいに敷き詰められてく。 最後のピースを埋めるのは俺じゃない、アイツだ。 それがどんな結末になったって、 俺は、確かめたい。 ────俺と橘の心の距離を。 * 枕元の時計の針は19時をさそうとしていた。 こんな時間に学校に居るわけないよな…… “ゆうちゃんここのところ生徒会の急ぎの書類作成で毎日帰り遅いみたいなんだ……” ほっしーはさっきそんなことを言ってた。 気にも止めず聞き流してたからそれ以上の情報はない。 くっそー……… せめてほっしーの連絡先くらい交換しとくんだった。 明日までなんて待ってられない。 明日になったらまた振り出しに戻っちまう気がして 後先考えないバカな俺は、熱でうなされた頭で決断を下す。 そして部屋着を脱ぎ捨て、熱で火照った体に制服の袖を通し、ネクタイを締め、 ……部屋を飛び出した。 とっくに気付いてたんだ、 どうにもならないくらい、俺はアイツが好きだ 橘 優人のことが────
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