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「あとがきに代えて」~川端康成のこと
「あとがきに代えて」~川端康成のこと
この詩を書いたのは川端康成氏の超短編「日向(ひなた)」の影響です。
「日向」の世界観で僕なりの少女のイメージを書きたかった・・
その思いで、今回の短編は書かれています。
以下、あとがきに代えて、同氏について語った僕の過去の文章を載せておきます。
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川端康成の小説が生涯の愛読書になったきっかけは、高校の国語の教科書に採用されていた「日向」という短編小説だ。
「日向(ひなた)」は同氏の短編小説の集大成「掌の小説」の中の一編だ。短編も短編、約3ページ!
これが何故、国語の教科書に採用され、この内容でどう国語を勉強したのかはわからない。
そんなことよりも、この中に出てくる少女がとてつもなく可愛いのである。
いや、小説の中なので、容姿や服装など、全く分からないし、想像もできない。
おそらく、僕の中の少女のイメージと同氏の描く少女のイメージがオーバーラップしただけだと思う。
小説なので、容姿を表現だけで創造するのは難しいが、会話でならイメージと直結する。
簡単にストーリーを紹介すると、
(以下、手元に本が無いので僕の記憶です)
主人公の男は海辺に面した宿の部屋で少女と向かい合っている。
(たぶん、婚約者だと思います)
男はかつて、目の不自由な祖父と暮らしており、絶えず祖父の顔を見ていたので、じっと人の顔を見る癖がある。
だから、少女の顔もじっと見てしまう。
少女は袂を持ち上げて、顔を隠します。
「やはり、顔を見るかね?」と男は少女に聞く。
すると、少女は
「ええ、・・でも、そんなでもありませんわ」と少女は答えます。
「悪いね」と男は言います。
「いいえ・・いいにはいいんですけど・・いいですわ」
と言った後、
「今に私の顔なんて珍しくもなんともなくなりますから」
と言います。
そのあたりでこの小説は終わりです。
たぶん、お見合いなのでしょうね。
この最後のセリフ、お見合いを受け入れ、男性と結婚する意思表示ともとれます。
何せ昔の事ですから・・
この少ない会話の中で成り立つ、少女のイメージに、今よりもはるかに想像力のあった男子高生の僕は氏の描く少女に恋をしました。
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これは推測ですが、
僕は川端康成氏の小説と出会わなければ、現在、小説を書いていなかったと思います。
(おしまい)
(フリー画像)
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