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なんだそれはと思われそうだけど、言い訳させてもらうとしたら、ぶっちゃけ俺はふだんからほとんど鏡を見ない生活をしている。
髪をセットすることもなければ、女みたいに化粧をすることもないし、ピアスや装飾品を付けることもない。
そりゃ洗面所に鏡はあるけど、顔を洗ったその手でタオルを手に取り、ゴシゴシ擦りながらその場をはなれてしまうし、歯磨きの間、ずーっと鏡で自分の顔を見るような趣味もない。
手鏡なんか持ちもしないし、もちろん写真を自撮りすることもない。
だから気付かなかった。
見覚えのあるその顔が、自分の顔だってことに。
なんてこった。
「…………?」
俺達が騒いでいるのに気付いたんだろう、桜の木の下でそいつが顔をあげた。
「…………」
そいつが俺を見た。
「…………」
俺もそいつを見る。
そっくりの顔同士が目を合わせた。
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