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俺がそいつを見かけたのは、朝のニュース番組内でのことだった。
いつものようにやかましい目覚ましの音で叩き起こされ、半分寝ぼけたままで顔を洗い、朝食用のシリアルに牛乳をぶっかけて、テレビのリモコンを押した時。
テレビ画面はちょうどお天気中継をやっていて、これどんだけ盛ってんだ、と思うような長くて黒々した睫毛の新人アナウンサーが甲高い声で本日の降水確率を叫んでいた。
予報は晴れ。降水確率0%。
だったら折り畳み傘もいらないなあと、できる限りカバンを軽くしたい俺がそんなことを考えながら少し甘いシリアルを口に放り込んだその瞬間だ。
「…………?」
お天気お姉さんの後ろで誰かがじっとこっちを見ていたんだ。
まあお天気中継はいつも外でやってるから、通行人が後ろを通ることなんて頻繁にあることだし、通行人の中には面白がって画面をじっと見ていたり、ピースサインなんかをする奴だっている。
なにもおかしいことはない。
ない、はずなのに。
なんだか俺はそいつと目が合ったような気がしたんだ。
もちろんテレビ画面の中と外で目が合うなんてことが物理的にないことはわかってる。でもそいつは、俺と目が合った(と見えたとたん)慌てて目を逸らしたんだ。
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