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美弥子と友だちで良かった。
もし彼女がいなかったら、今ごろ私はどうなっていただろう……想像もしたくない。
幹線道路にたどり着いた私は、明るい街灯と交通量の多さにホッとした。
乱れた呼吸を整えていると、ポンと肩を叩かれて飛び上がった。
ふりむくと美弥子が笑っていた。
「あ、ふりむいちゃった。だめって言ったのに」
「なんだ、びっくりさせないでよ」
笑いながら抗議すると、彼女はふわっと抱きついてきた。
「良かった、取られなくて」
「え?」
私を抱く腕に力がこもる。
「最初からこうすれば良かったんだよね」
美弥子の声が、回転数を遅くした音声のように低くくぐもっていく。
「一 緒 に 行 コ ウ ネ 」
私の脳裏に、学内で聞いた噂がよみがえる。
『入学式にさ、事故死した子の幽霊いたんだって』
『美弥ちゃんって子?たしか霊感強かったんだよね』
激しく鳴らされるクラクションと眩しいヘッドライト。
そして私も、幽 霊 に な ッ タ ……
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