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Bさんの時のお念仏は、誰もやりたがらなかったので、仕方なく最初に亡くなった人の弟であるCさんが務めることになった。本家長男ではないが、友引に葬式を出したことに責任を感じていたらしい。
Cさんはお念仏の翌日、亡くなった。
「分家だったから仏さんが怒ったのかもしれない」
集落の人々はさすがに恐ろしくなって、Cさんのお念仏はどうするのかと騒ぎになった。
「父の葬式は斎場でやります。お念仏もしません」
Cさんの息子さんはきっぱり言って近所の手伝いも断り、密葬という形でひっそりと葬儀を済ませた。
何かあるのではないかと、しばらく集落内は落ち着かない雰囲気だったようだが、結局それっきり何も起こらなかったという。
「お念仏が悪いわけじゃない。あれは友引だったから」
そういうことになり、今でもお年寄りが亡くなった時など、昔ながらのお念仏を行っている。
もうあまり若い人は参加しないらしいが、風習として続いて欲しい気もしないではない。そう思ってしまう私自身、やはりあの村の血を引いているのだなと思う。
ここまで披露してきた田舎の怖いお話、まだまだネタはあるのだが、ひとまずこれにてお開きにしようと思う。それでは、またいつか。
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