本当は

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 エフィールは微笑む。普通では物足りない。愛されるだけではなく、愛したい。エフィールがどこかへ行ってしまうかもしれないと必死に留める姿に、ほの暗い喜びが胸に満ちる。  エフィールは悪い子なのだろう。たくさんの人間を殺し、これからもそうするであろ者たちに愛を乞うているのだから。そして、この執着を恋と呼んでいいのか曖昧なままに彼女たちを独占しようとしている。 「だから、ねえ。本当のあなたたちを教えて」  化け物たちはお互いのことなど目に入っていない様子でエフィールにしがみつく。前と後ろ挟まれた。 「エフィ。可愛い私のお嬢さん。私のことはカレンと呼んでちょうだいね。私と一つになりましょう」 「こんな植物女よりもわたしがいいわ。わたしはユリアと呼んで。エフィもわたしと同じ変わらない体になろうよ」  エフィールを間に挟んで行われる求愛と喧嘩。視界の隅で植物と冷たい腕が小競り合いをしている。  捕まったのか、捕まえたのか。どちらでもエフィールは構わない。たとえ、カレンの植物に飲み込まれて同化しても、ユリアのように冷たい体となっても、きっと幸せだろう。確信をもって言うことができる。 「わたし、幸せ」  エフィールは、笑った。
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