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「エフィ、どうしてこんなところにいるの!? あいつらに何かされるから一人で外に出たらダメって言ったじゃない」
夢だとは思えなかった。しがみついてよかったと何度も繰り返す、エフィと同じ顔の少女。痛いくらいにエフィのことを抱きしめる彼女は確かに姉だ。苦しい時もつらい時もずっとそばにいた。
「ごめんなさい」
「ううん、私こそごめんね。エフィが最近私と遊んでくれなくて、寂しかったの。それで酷いこと言っちゃった」
「わたし、自分勝手だったわ。ユフィならたくさん友達がいるし、一人でも平気だって思ってしまったの」
子供たちだけではなく、大人にも囲まれて楽しそうにしているユフィ。それをエフィは遠くから眺めていることしかできなかった。ユフィは優しいから受け入れてくれただろうが、のろまなエフィは歓迎されない。気まずい空気が嫌で、黙って立ち去っていたのだ。
ユフィはエフィの肩に両手を置き、微笑む。とびっきりの秘密を打ち明けるときのように、もったいぶって口を開いた。
「ねえ、エフィ。あなたにだけ友達を捨てさせるなんて、間違っていたわ」
「ユフィ?」
大好きで、特別な片割れ。いつも一緒にいて、同じことをしてきた。ユフィのことはエフィが一番よく知っていたし、相手もそうだ。それなのに、彼女が何を言おうとしているのか分からない。
強ばった顔で、エフィはユフィを見る。いつも透き通っていたはずの彼女の瞳が、先ほどの彼らと重なる。エフィでは分からない感情を灯し、暴力的な欲望へと支配されてしまっていて。
下がろうとしたけれど、ユフィはそれを許さない。防寒具を脱ぎ去って、さらに近づく。彼女よりも薄着のエフィでさえ震えるほど、体温が低かった。
吐息が掛かる距離。耳元に寄せられたふっくらとした唇が動く。
「私のすべてを捨てれば、あなたもきっと、私の気持ちに応えてくれるよね? だって、私はこんなにもあなたのことを愛しているんだから」
「ユフィ……? どうしたの? わたしのことが許せないからそんなこと言うの?」
「違うわ。気づかないなんて鈍感ね。それとも、あえてみないふりしているの?いつだって私はあなたに言っていたでしょう。愛しているって」
「それは、家族として」
「いいえ。違うわ!」
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