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部活帰りに立ち寄ったファミレスで、元カノと鉢合わせ。 こういう偶然って起こるもんなんだと、ある意味、とても感動した。 あー、マジかよ。 同じ制服の女友達と来ていた彼女の方も「篤樹?!」って目を丸くしていたけど、俺も咄嗟に言葉が出て来なかった。それくらい驚いた。 「……今の子って、知り合い?」 俺がドリンクバーの前で固まっていたことは、一緒に来ていた同じ化学部の3年、高梨先輩にも気付かれていて、席に戻ってから問われた。 先輩は髪が長くて、優しくて、おっとりしていて。年上らしく、いつも鷹揚に微笑んでいるような人だ。 「中学ん時の……元カノです」 正直に答えたのは、ほんのちょっとだけ期待してしまったから。 元カノ、と告げられた時の先輩の反応に。 動揺してくれたらいいな、と。 なのに、特にリアクションは無し。 「へぇ、可愛い子だね」なんて笑顔で返された時には、自分の浅はかさを呪いたくなった。 「喋ってきたら?」 「いいですよ。特に話すことも無いですし」 「中学で既に彼女いたとか、あっちゃんはオトナだねぇ」 からかうように言われて、俺はむすっとした顔のまま、ドリンクバーから持ってきたばかりのブラックコーヒーに口をつけた。 「先輩はいなかったんですか?」 「残念ながら、そういう人にまだ巡り会えてなくて」 その愚痴は傷つく。 じゃあ今、目の前に座っている俺の立場はどうなるんだよ。 大体、部活の後に二人きりで飯を食いに来ている時点で、ちょっとは感付いてほしい。 そりゃあ、今日は化学部での雑用を手伝ってあげて、それをこじつけに「じゃあお礼代わりに、飯でも奢ってくださいよ」っていう回りくどい誘い方をしたんだけどさ。 でも俺だって、例え奢りだとしても、何も思っていない人とわざわざ寄り道なんてしないんだけどなぁ。
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