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ゴトン、ゴトン、軽い振動に揺られる。ふと目が覚めると電車の中にいた。確か花火大会を見に行ったはずだけど、もう終わってしまったのか。電車の中は混雑していて皆スマホを見ていた。
と言っている間に電車がホームに入っていく。プシュと扉が開くと同時に大半の人がスマホ見ながら出て行った。電車の中に残っているのは寝ている人や外を眺めている人だけである。
眠気眼でホームを見ていると制服姿の女の子が立っているのが見えた。なぜか真下を見ているので顔が見えない。どうやらスマホを見ているようでじっと動かないのだ。
怪訝に思っていると、何となくこの駅で降りないといけないようなして気がしてきた。ゆっくり立ち上がりドアに向かおうとすると手がガシッと掴まれたのだ。
ハッと見てみると。隣に祖母が座っていたのだ。
「ここじゃないよ。次の駅だよ。ばあちゃんが見といてやるから寝ておきな」
祖母の言葉に安心して座り直した。ばあちゃんが言うなら間違いない。
扉が閉まり電車が動き出した。駅のホームには多くの人達がスマホを見ていて、さっき降りた人たちもスマホを見ている。皆一様に真下を見る角度でスマホを見ているから顔が見えない。よっぽど面白いゲームでもあるのかなと思いつつ深い眠りについたのだ。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・」
「・・・」
「・・」
とても白い眩しい光に目をしかめる。身体が思うように動ず息苦しい。
ピッピッピッと規則正しい電子音が聞こえてきた。白い天井が見えてくる。どうやら寝ていたようでここは一体どこだろう。
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