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「ナオユキ!気がついたの。ナオユキ。よかった。よかった」
目の前では母さんが泣いていた。
「母さんどうしたん?」
泣き続ける母に困ってしまった。
「お前は交通事故にあって死にかけたんだよ。でもよかった。帰ってきてくれてよかったよ」
よくわからないがとても悪いことをしてしまった気になってきた。たぶん悪いことをしてしまったんだろう。
「おばあちゃんは?」
何気なく聞いてみた。
「おばあちゃん?おばあちゃんは去年死んだでしょうに。頭は大丈夫なんか?」
と本気で心配してくる母。
思い出したのだ。確かにおばあちゃんは去年心臓の病で亡くなっていた。とてもやさしいおばあちゃんで突然亡くなったときは、ただただ悲しくなったのを覚えている。
でもつい最近あったような・・・・・・。
「本当に大丈夫なんか?すぐ先生呼んでくるから大人しくしとくんよ」
慌てて駆け出していく母。ナースコールで呼べばいいのに・・・・・・。
こうして僕は生死の境から生還できたのである。
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