終末の獣

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「人類に告ぐ。心せよ、これは予言である」  そう唱えたのは、死の間際にある宮野蹴鞠(みやのけまり)という日本人男性だった。 「6年6月6日の朝、その現象は起きる。  午前6時59分59秒、全てのアナログ時計は停止する。  1秒後、全てのデジタル時計は、6時60分と表示される。  地球上の全てを暗雲が覆い、太陽は隠れ、人類は滅ぶ」  彼は、安らかに息を引き取った。  その予言は、小さく報道され、都市伝説となった。 「ノストラダムスの予言さえ外れた。戯言(たわごと)だ」  (しか)し、人類の恐怖を完全に払拭(ふっしょく)する事は出来なかった。  6年とは、いつ訪れる6年なのか?  西暦20x6年?  各国にある年号の6年?  予言にある日付になる(たび)、人類は恐れ(おのの)いたが、予言は外れ続けた。
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