ブラッドチェリー

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「ってか100円なら私が貸したのに」 栗原先輩はハチの腕をギュッと掴んだ。 見ていいのか悪いのか。むしろもっとすごい現場を目撃しちゃってるんだけど。 ハチはコーラを飲みながらも栗原先輩の腕組みを受け入れていた。 「んーでも悪いし」 ……あ、この顔はちょっと困ってる。 「100円でしょ?むしろあげるよ。わざわざ七海ちゃん呼びつけたら可哀想だよ?」 ハチは不真面目だけど変な所だけ真面目でお金の貸し借りはあまり好まない。 確か小学3年生の遠足の時も欲しいイルカの人形が520円で10円足りないって泣く泣く我慢してた時があったっけ。 多分その時ぐらいからかな。ハチの分と自分の分と同じモノを買うようになったのは。 私がイルカの人形あげたらハチは大喜びして。今はクローゼットの奥に眠ってるけど気に入りすぎて真っ黒になってた。 お金の貸し借りは私もあまり好きじゃない。 だからって私から借りることに抵抗がないハチもどうかと思うけど、貸してる私もハチだったら抵抗はない。 返して欲しいとも思ってないし。 そのことで私が可哀想だと思われてるのは嫌だなぁ……。 「七海ちゃんも嫌な時は嫌って言わなきゃ駄目だよ?瞬のことは私が叱っておくからさ」 「は、はい……」 そうとしか言えない。 「ねぇ、七海ちゃんの連絡先教えて?」 ふわりと先輩からいい匂いがした。断る理由もないし私は言われるがままスマホを出した。 一瞬その顔が曇った気がしたけどそのままラインを交換した。
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