「それが貴方の死ぬ理由」

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「それが貴方の死ぬ理由」

 死神の釜を首に当てられて、焦らされるようでした。耳も目も聞こえなくなっていって、自分の身体が動きを止めていくのがわかりました。  22歳の誕生日、彼女に僕は殺されました。  彼女との出会いは、大学二年生の時に参加した、軽音部の新入生歓迎会でした。僕の方が、彼女に惹かれたのです。アッシュが入ったグレーの髪をしているのに、中身はおっとりとしていたので、ギャップにときめいてしまったのでしょうか。少し音楽の話をしたのもあって、1ヵ月経つ頃には、彼女に友人たちに噂されるほどわかりやすい好意を抱いていました。  この大学の軽音部では、新入生歓迎会の前にライブを行う決まりがあって、僕はそれに出たくなかったのですが、彼女が僕と話したいと思ったきっかけがライブだったと知ってから、僕はわかりやすくライブに積極的になりました。  彼女と付き合うことになったのは、その新入生歓迎会から三ヵ月経った頃、夏の日でした。僕の猛アタックに、彼女が折れました。ストレートな人が好きらしい、という情報が頼りになったと大喜びしました。     
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