0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
「ルイス、ご飯ができたわ!」
「…ん……」
まだ寝惚けているであろう脳みそを動かす様に頭を軽く叩くと、視界が少し広がった。
…眠い。
そう思いながらも彼女の作るご飯は楽しみで。
今朝はエピテと目玉焼きのようだ。
エピテはアーモンドを砕いたものとキャラメルソースがかかっている、この地では人気の丸い菓子パン。
おれも好きだけど、流石に朝からは…ちょっと。
「…朝からエピテを食べるのかキミは」
「朝はエピテよ」
ふふん、と笑った彼女も椅子に座る。
「「いただきます」」
料理の仕方は豪快でも流石お嬢様、食べる仕草は優雅だ。
………………………………………。
「…ルイス、そう言えば…あなたはどうして刑務所に?」
「…今は話すべき事じゃァない」
「そう…」
不安そうに新緑色の大きな瞳が揺れる。
視界の端で揺らめく自分の黒髪が邪魔で耳に掛ける。
「…オレが、あそこに居たのは…」
「ルイス?」
「………やっぱり、…なんでも、ない」
「そう。…話したい時に話せばいいのよ。」
彼女はそう言って、スープを作りにキッチンへ消えていった。
最初のコメントを投稿しよう!