3人が本棚に入れています
本棚に追加
指輪
朝日がわたしの顔を照らす。
小鳥が電線に留まったり、追いかけっこしながらちゅんちゅんと鳴いている。
今日は日曜日。
まったりした朝を迎える…はずだった。
ばっ。
わたしは飛び起きた。
そうだ、今日は彼がわたしの部屋に来る日だった。
スマホのホーム画面を見ると、既に九時を過ぎていた。
彼が来るのは十時。
あと一時間もない。
女子には支度しなければいけないことがたくさんあるのだ。
焦るわたし。
いつものように、枕もとの小物入れに手をやる。
彼からのプレゼントであるシルバーの指輪があるはずだ。
毎朝目覚めてから最初にすることは、その指輪を左手の薬指にはめること。
しかし、今日は違った。
小物入れに入れてあるはずの指輪がないのだ。
どこへやってしまったのだろうか。
どうしよう。
この手にあの指輪がないことに気づいたら、彼はどう思うだろうか。
怒るかな。
悲しむかな。
他に男ができたと思われたりして。
もしかしたら、そんなに気にしないかも。
どちらにしろ、すごく不安になった。
この世の終わりの気分だ。
ベッドの中かな。
掛け布団をばさばさしてみる。
ない。
最初のコメントを投稿しよう!