指輪

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指輪

 朝日がわたしの顔を照らす。  小鳥が電線に留まったり、追いかけっこしながらちゅんちゅんと鳴いている。  今日は日曜日。  まったりした朝を迎える…はずだった。  ばっ。  わたしは飛び起きた。  そうだ、今日は彼がわたしの部屋に来る日だった。  スマホのホーム画面を見ると、既に九時を過ぎていた。  彼が来るのは十時。  あと一時間もない。  女子には支度しなければいけないことがたくさんあるのだ。  焦るわたし。  いつものように、枕もとの小物入れに手をやる。  彼からのプレゼントであるシルバーの指輪があるはずだ。  毎朝目覚めてから最初にすることは、その指輪を左手の薬指にはめること。  しかし、今日は違った。  小物入れに入れてあるはずの指輪がないのだ。  どこへやってしまったのだろうか。  どうしよう。  この手にあの指輪がないことに気づいたら、彼はどう思うだろうか。  怒るかな。  悲しむかな。  他に男ができたと思われたりして。  もしかしたら、そんなに気にしないかも。  どちらにしろ、すごく不安になった。  この世の終わりの気分だ。  ベッドの中かな。  掛け布団をばさばさしてみる。  ない。     
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