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次の日、学校で妙な心理テストが実施された。「こんな問題が起きた時、どう対処しますか?」とか「恨みの対象は他人ですか、自分ですか?」など、道徳心や倫理観を問われるような内容だった。いつもなら大人が求める正解を回答欄に書けるんだけど、昨日の今日だったから、俺は少し過激な回答に偏った。「悪い事は、もっとしっかり矯正した方が良い」。これが、今の俺の答えだ。
学校が終わり、剣道部の後輩にちゃちゃを入れた後、塾に行き塾も終わって家に帰る。ふと、家のポストを見ると、茶色い封筒がはみ出ている。気になったので確認すると、俺宛ての封筒だった。差出人名は書かれていない。切手が張られていないので、直接投函されたようだ。中には紫色の宝石がシルバーの金具にはめ込まれた、ネックレスのような物が入っていた。どう見ても女物だ……。俺はこういう趣味がないから、母さんか妹にあげよう。
封筒の中にはネックレスだけでなく、一枚のメモも入っていた。汚い手書きの字と絵で、「ここをねじる」と記されている。どうやらこのネックレスは可動式らしい。誘導されるがままねじってみるが、特に変わりはない。光ったり音が出たりすると思っていた ので、拍子抜けしてしまった。
玄関を空けると、異形のモンスターがこちらに近づいて来た。……なんだこれ? 妹の小百合が新しく家に迎えたペットか? それはないか、ろうそくにともった炎のように、影立ったフォルムがゆらゆらとゆらめいているんだものな。間違いなくモンスターだろう。そう、これはモンスターなのだ!
モンスターが俺に近づいて来たので、玄関にあった傘を手に取って撃退する。1度叩いただけでモンスターはキッチンの方へ逃げていった。この時間のキッチンには、きっと母さんがいる。母さんが心配だから後を追う。しかし母さんはおらず、モンスターだけが縮こまっていた。もう一発傘で殴ると、モンスターは煙となって消滅した。
そうなると妹の小百合の事も心配になる。反抗期真っただ中で鬱陶しい奴だが、命の危険とあれば別だ。俺は小百合の部屋にノックして入る。部屋に小百合は居ないようだ。しかし、モンスターはいる模様。うわ、こっちのモンスターは大きいぞ! 俺の背丈よりも大型だ。しかも荒れ狂っている。
モンスターは俺を見つけるなり襲い掛かって来た。不意を突かれて俺は覆いかぶさられて倒れた。
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