第4ノ章 “翌日”

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第4ノ章 “翌日”

んん…鳥のさえずりが聞こえる ボクは顔をあげた、視界が狭いな… あ、仮面をつけてるから ボクはう~んと伸びをする 錆びた鉄のゴミ箱から 飛び下りたボクは辺りを見回した 昨日は気づかなかったが こんな建物の後ろに自販機があるじゃないか 電源が入ってないな…そうか、だから 昨日の暗がりに紛れて気づかなかったのか ボクはその寂しげな自販機に近づき 右手の革手袋をとり、触れた… ビジジッ ガツン…ガツン… 四角い本体が全体を左右に大きく 揺らしてグラグラと裏路地から出ていった フフン…あの動き、愛らしいな… ボクは反対側の路地から出ていく 「ぎゃあー!」 「自販機が歩いてるぞ!」 「どうなってんの…!?」 ボクは右手に革手袋をはめ直す… 反対側の裏路地から出ると川が見えてきた ん、川の土手に人が座ってる… 年配のおじさんだな 小型テレビを見てるようだ 小型テレビ 『速報です!木彫りの蜂がまるで 生き物のように森林を飛び回ってます!』 あ…昨日、ボクが動きを与えた 蜂達が騒ぎになってる 小型テレビ 『この木製の蜂の制作者は なんと15歳の少女! なんでも、仮面の男の子が 動きを与えてくれたとのこと!』 それって、ボクのこと…かな?
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