第4の証言

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「え?ええと、そうですね。まあ、鈴原さんの言うことも一理ありますが、まだはっきりとした事は言えません。皆さんの意見を聞いて総合的に判断していきましょう」 刑事は突然、ジャッジを迫られて少し慌てたものの、そこは本職の刑事なのでイエスともノーとも言えない段階である事を説明した。 「ということよ」 別段自分の推理が合ってると言われた訳でもないのに、なぜか誇らしげに鈴原園子は腕組みをして締めくくった。 「今井さん。その数回の会話ってどんな内容だったんですか?」 「そうですね、たわいもない話ですよ。演劇に興味があるみたいでした」 「……具体的にはどのような?」 「具体的にですか?そうですね。台詞の言い回しについてとか」 「台詞の言い回しね、そりゃ結構突っ込んだ話ですね」 「まあ、そうですね、だから本当に演劇に興味があったんだと思いますよ」 「どんな台詞ですか?」 「え?そこまではちょっと覚えてないです、すみません」 「そうですか、因みにどんな演目なのですか?」 「ちょっと説明が難しいですが、とある古典を現代風に意訳したものです」 「はぁ、古典ですか……因みに私が聞いてもわかりそうな部類の古典ですか?」 刑事は少し(おど)けた様に聞いた。 「わかると思いますよ、有名な作品です。人間失格ですから」 それを聞いた刑事は驚いた様に目を見開いた。 「あの、何か僕おかしなことを言いましたっけ?」 刑事の反応に少し慌てて今井翼はそう訊ねた。 「え?いや、その……なんでもないんです」 そう言うと刑事は取り繕う様に笑顔を見せた。
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