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「あ、そういえば、小耳に挟んだのですが。教授が自らサイコパスであるかの様な事を言ったという噂があるんですが」
刑事は思い出した様に話題を変えた。
「サイコパス.......あぁ、講義の事ですか?」
「講義?」
「ええ、それはおそらく大学教授の行ってるサイコパス講義の話でしょう.......知らない人が聞くと誤解されてしまいますね」
「えーと、つまり、講義の最中に自分からカミングアウトされた.......?」
「いえ、全然違います!」
中岡は少し怒ったように言うと、ヤレヤレといった仕草をした。
「大学教授の講義は内容が砕けてるというか.......語りかけたり考えさせるタイプなので態と聴衆の興味を引くような言い回しをするんです」
「ほう.......つまり、なんらかの.......」
「ジョークですよ」
「なるほど」
「おそらく、犯罪心理学を専攻される前は行動心理学なども研究されてらしたらしいですからその辺のロジックも使われているのかと」
「なるほどねぇ、ロジックですか」
「いや、本当に.......確かにあの通り表情に乏しくて掴みどころの無い性格ですけど、講義の面白さには学内外から定評があるんです。たまに、一見して学生ではないとわかる人も聴きに来てますし」
「学生以外の人が講義を受けれるんですか?」
「ええ、うちの大学は万人に開かれた学舎を校是にしてるくらいですから、ちゃんとした身分証明書さえ提示出来れば誰でも講義を受けられます」
「それはすばらしい」
「まあ、受講態度によっては摘まみ出されますけどね」
「なるほど」
「まぁ、そんな訳でその発言も教授のユーモアの一端で、直に受講していれば誰でもその事はわかりますよ」
「ふむ。そうですか……わかりました、長々とありがとうございます」
「いえ、また気になる事がありましたら何時でもどうぞ、教授の身の潔白なら喜んで証言しますから」
「それはどうも。中岡さんは教授のゼミ生でもあるんですよね?」
「はい、そうです」
「つまり専攻は……なんでしたっけ?」
「犯罪心理学です」
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