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首元でじゃらり、と細い鎖が音を立てる。
金網越しに黄金色の瞳が四つ。
「紙食べるかな? 紙」
「ほら、食え食え。餌だぞ」
細い蹄で器用に紙の切れ端を摘まんで、金網越しに差し出す男子高校生が二頭。小学生でもあるまいに、とメイリは億劫気に睨む。
彼女がこの飼育小屋に監禁されて二週間、何度も同じことは繰り返されている。だから、受け取らなければ彼らが帰らないのも知っている。
寝藁から身を起こし、スカートについた藁を払う。金網間際まで歩み寄り、隙間から突き出された紙切れに手を伸ばし――受け取ろうとした紙切れは、スッと引っ込められた。
「アハハ、残念でしたぁ」
「鬼畜か! すげぇ悲しそうな顔してんぞ!」
人類の表情を見分けられる者がいれば判ったことだろうが、メイリの表情は、ちょっと若い娘がしてはいけないレベルの憎悪一色だった。ガン、とローファーで金網を蹴ると、男子高校生達は嗤いながら飛び退る。
「さっさとやっちまえよ」
「やだよ、噛み付きそうじゃん」
そんなもん要らないから、帰るなら帰れ。三度、四度と金網を蹴り続けた。
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