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「おお~い、どうすんの? キメたいんでしょ? 飛べるよ?」
ヤツの手口は分かった。クスリでトバした女の子を、車通りの多い所に連れて行き、「自分から轢かれに行く」、それを見て楽しむ。っていう、はっきりの異常者だ。
それで性的興奮とかも得てたら……みたいなことを考え、背筋がぞわりと来るのを何とか抑え込む。
無言のまま、近場の、建て替えが進む団地に向かう。途中通った誰もいない小さな公園……のりぃんはもういない、ってことを再認識させられて、へこんで……そして私の決意は固まった。
「おお? 取り壊す前って感じの……『廃団地』? みたいな? いやぁ流石もねちゃん。穴場知ってるねぇ~」
韮瀬は警戒はしていないようだ。だったら……やってやる。もう全世帯の引っ越しが終わった団地の建物のひとつの外階段を、私は後ろも振り返らずにずんずん上へ上へと。
「……」
屋上。八階建てだからここらでは高い方で、景色や風は心地よくて、私の絶好スポットだったけど。これからは来なくなるかもね。
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