●少女はいつもロンサムアイズ

10/11
前へ
/11ページ
次へ
「おお~い、どうすんの? キメたいんでしょ? 飛べるよ?」  ヤツの手口は分かった。クスリでトバした女の子を、車通りの多い所に連れて行き、「自分から轢かれに行く」、それを見て楽しむ。っていう、はっきりの異常者だ。  それで性的興奮とかも得てたら……みたいなことを考え、背筋がぞわりと来るのを何とか抑え込む。  無言のまま、近場の、建て替えが進む団地に向かう。途中通った誰もいない小さな公園……のりぃんはもういない、ってことを再認識させられて、へこんで……そして私の決意は固まった。 「おお? 取り壊す前って感じの……『廃団地』? みたいな? いやぁ流石もねちゃん。穴場知ってるねぇ~」  韮瀬は警戒はしていないようだ。だったら……やってやる。もう全世帯の引っ越しが終わった団地の建物のひとつの外階段を、私は後ろも振り返らずにずんずん上へ上へと。 「……」  屋上。八階建てだからここらでは高い方で、景色や風は心地よくて、私の絶好スポットだったけど。これからは来なくなるかもね。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加