●少女はいつもロンサムアイズ

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 知り合いから聞いた話だけどぉ、と、のりぃんは前置きしてから話し始める。  ―何でか、ガッコの制服を着た男と歩道を一緒に歩いてたらしいんだけど、その男と顔を突き合わせて何事か囁かれた瞬間に、立井須カンナが弾けるように……うん、その場から踊るようなステップを踏むとぉ、いきなり車道に飛び出ちゃったんだってぇ。そこに運悪く大型が迫ってきていて、ブレーキを踏む間もなく、跳ね飛ばされた、みたい。  ……何だろう。謎。謎だらけだよ、のりぃん。そしてあくびしてまた寝に入ろうとするのは待って。  何で立井須カンナは、そんな唐突なコトしたんだろう。そしてその場にいた男子高生って一体誰なんだろう。  そいつが何事かを吹き込んで、そのショックで立井須カンナは衝動的な自殺を図った? そんなことってあるんだろうか。  わからない。私にはそんな気持ちはわからないけど。  状況も分かったような分からんような。男の特徴とかないの?  ―ガリガリ。猫背。黒いぼさぼさの長髪。紺色のブレザー。灰色のズボン。  む。それだけだけど、それだけで分かった気がする。私が行ってる学校の制服だし、汚ねー長髪っていったら……  教室の窓際の一番前で、授業中いつも突っ伏してる後ろ姿を思い出す。私は窓際のいちばん後ろに陣取ってるから、よく視界に入る。そして授業中はほとんど寝てるってゆー共通点もあるもんだから、何となくおかしな親近感もあった。  韮瀬(にらせ)、って男子だ。お互いよくは知らないけれど、割と距離は近い、そんな存在。立井須カンナとの距離感と近いかも。
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