●少女はいつもロンサムアイズ

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 うーん、でも学校での無気力感ハンパない韮瀬が、能動的に動いている姿を想像できない。まあでも他に当たりがあるわけでもないし。とりあえずは行動を見張ってみようかな。完全に好奇心に後押しされたとんだ探偵なわけだけど、私はこの退屈な日常に、ふと面白なことが降ってきたくらいの気持ちでこの時はいたのであった。  もねちゃんも気を付けてねぇ、と、のりぃんは眠そうにそう言うけど、いやいやアンタこそ気をつけなはれや、と言い置いて、私は学校への道を急ぐ。  見慣れた教室が、異世界のように私の目には映っていた。いや、それは言い過ぎか。  韮瀬はいつも通り、いちばん前の窓よりの席で堂々と寝ているわけだけど、その後ろ姿からは何かいつもとは違って、禍々しいオーラみたいなものを感じる……って、私の思い込み結構激しいよね……でも気になる。  昼休み。私は教室をのそりと出ていった韮瀬をさりげなく尾行してみる。でも怪しい行動は見られない。講堂の外階段に腰かけて、スマホをいじくってるだけだ。私は自分の空腹感の方がヤバかったので、その場を離れる。  放課後。相変らずの覇気の無い感じで、韮瀬はまっすぐ家に帰るみたい。「事故」は真夜中から早朝あたりに起きた……ここは家の場所を確認するに留めるか……などと、にわか探偵の私はそう思考する素振りを見せたりする。  まったくの警戒心ゼロの韮瀬の尾行は、あっけないほどに淡々と進行したわけだけど、その家は「現場」の正に徒歩2分の圏内にあったのであった……それだけで決めつけるのはアレだけど、立井須カンナのコトに関わっている……そんな直感。でも流石に飽きてきたので、私はひとまず家に帰ることにした。  夜中に韮瀬の家の前に張って、出てきたらまた尾行する……何てことは出来そうもなかった。深夜起きてることがそもそも私には無理なことだったし、興味もそろそろ尽きかけてたし。  もういいか、みたいな気分で、私は私の日常に戻ろうと早くも決断していた。
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