●少女はいつもロンサムアイズ

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 その数日後のことだった。  いつもと変わらない朝の食卓のはずだった。でも私の姿を目に留めたママの顔が、少し複雑そうに変わったのを見て、何か悪いことがあったんだなと察してしまった。私はそれでも素知らぬ顔で椅子に腰かけたけど、耳だけはママの方に向けて動かせなくなっている。 「……もね。あなたのお友達がその……」  言いづらそう。だから逆にわかってしまった。言葉を探してる風のママは、もう一度息を吸ってから言い直した。 「菊間さんから夜遅く連絡が入っててね」  その名前を聞いて確信。のりぃん。でも私は殊更に無表情を通す。まだ。まだ決定的な言葉を聞くまでは何も信じない。 「のりちゃんが……車に」  それ以上聞いてられなかった。ママは泣いてる。のりぃんが、車に轢かれて……  ケガした、とか、そんなレベルの話ってわけじゃ……なさそうだった。嘘、という気持ちと、いや、アイツだ、という思いがぐるぐる回る。朝食もそこそこに、私は家を出た。  学校へ。とにかく学校への道をぐいぐい歩く。のりぃんの家には行けなかった。行っても家族の人たちにどう接していいか分からないから。違うか。そんな場に行きたくなかっただけかも。
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