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教室に入ると、窓際のいちばん前の席にはいつもの突っ伏した背中。私は殊更に大きな声を出しながら、一緒にごはん食べるだけの友達の輪の中に入っていく。
「もねりーん、どしたの? 今日テンションあげてるけど」
ショートヘアの何とかってコが負けじと声を張り上げてくれる。ヤツの背中がぴくりと動いた。私はよく通るね、って言われる高い声でそれに応える。
「あそだ。……もねりん聞いた? のりのりんが……」
「ちょっとぉ、やめなさいって」
ショートのコの言葉を遮って、ボブのコが目くばせしながら割って入る。あ、私に気ぃ使ってくれてんだ、みたいに少しほっこりするけど、今は韮瀬の気を引くことだけ考えないと。
「……とにかくさぁ、もねりんも気をつけてね。何か、すっげぇ変なヤローの仕業って感じがあたしにはするからさぁ」
ちょっと直球すぎー。うしろうしろー、うしろにそいついるからー、と私はショートのコの発言に少し白目になりながらも、視界の隅で、韮瀬が汚い長髪の隙間からこちらを伺っているのを認識している。
喰いつい……たかな。反応薄いからわからんけど。
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