いじめ?

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「ハイ、リュウヤ!誰と話してたの? 日本語?」 俺が電話を切った直後に、ダンサー仲間のルーシーが話し掛けてきた。 「ああ、母とだよ」 「ふうん、楽しそうに話していたから、彼女かと思った」 そうか、そんなに楽しそうに話しているように見えたのか。 まあ、母さんの封印が解けた経緯を聞いたら、なかなか楽しい話だったのは間違いない。 「母さんが楽しい人だからかな」 「ふうん、お母さんの事、好きなんだね」 「まあね」 適当に相づちをうって、雑談を続ける。 俺の英語力は最近、かなり上がってきていた。 人間、必要に迫られて追い込まれれば何とかなるものだと思う。 泰士はなかなか英語が上達しなくて困っているみたいだが。 『竜也、電話してたのか?』 『泰士。 母さんと話してたよ』 泰士がやってきて、俺に話し掛けてくる。 「ちょっと、二人で日本語で話されると寂しいよ!」 ルーシーが頬を膨らませて抗議をする仕草は、ちょっと可愛らしく見える。 「あはは、ごめん」 「おい、楽しそうだな」 「げ…」 泰士が声を掛けてきた方向を見て、嫌そうな表情になる。 「リュウヤ、お前、こんな所でサボっていていいのかよ? ちょっとディーナに気に入られているからといって、いい気になるなよ」 その男、ジェイは、俺を睨み付けるように見ながら言う。 「俺はいい気になんてなってないよ」 肩をすくめて答えると、ジェイの表情がみるみる怒りの形相に変わっていく。 「チッ…いちいち生意気なんだよ。 見てろよ、余裕そうにしているのは今のうちだけだからな」 ジェイは俺を視線で殺すつもりかという位に、凄い形相で睨み付けてから、立ち去っていった。
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