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そういえば、Dのやつ、どうしたんだろうな?
遅れるなら遅れるで、連絡入れてくるはずなのに。
そう考えはしたが、急な残業でも入ったんだろうと、あまり気にしてはいなかった。
なんと言っても美人がいたし、ほかの子も感じのいい子ばっかりで、こんなに楽しい合コンは初めてだった。
かなり酔ってきたときだ。
ひととおりゲームなどもして、おしゃべりをしていた。おれはテーブルの端を見て、ギョッとした。
手がある。
料理ののった皿やジョッキにまぎれて、ぽつんと人の手が、そこにある。
座敷席なので、床は畳だ。
テーブルは座卓。テーブルの下も足が入れられるようになっているわけではなく、ちょくせつ床にすわっている。
手はテーブルの端に、下からかけられている。
床に誰かが寝そべって、手だけをのせているのなら、できなくはない角度だ。
誰か、酔いつぶれたか?
おれは楽しそうに話している友人たちの頭数を数えた。
おれをよせて、男は三人。
あの手は男のものだから、女の子たちは関係なさそうだが、いちおう数える。ちゃんと、四人。
つまり、誰も畳の上に行儀悪く寝そべってなどいない。
じゃあ、あの手は、誰のものなんだ?
おれは、おそらく冷や汗をかいていたと思う。
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