終着駅

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「ええ。死んだのは別の国ですけど」 「日本の方のお話はいつもいつも奇天烈で楽しいです」 「あ、天国ではそういう扱いなんですね日本人。  僕の感覚で良かったら、いくらでもお話します。  あ、良かったらこの世界の事や天使様の事、聞かせてくれませんか?  こんな機会、滅多にある事ではありませんし」 「私の感じた物で良かったら、いくらでもお話しますよ。  天国に着くまでには、まだまだ沢山時間がありますから」  そうして、電車は走っていく。  ガタンゴトン。ガタンゴトン。  晴れ渡る空を鏡の様に反射する、凪いだ海を滑る様に。  二つの魂を乗せて、天国へと向かう。  一つは、絶望に覆われた人々を照らす希望を生み、満足し、  もう一つは、生きている間に報われず、しかしその死後に生きている間以上の満足を得て、  そうして、電車は走っていく。  終着駅から、始まりを始める場所へ。     
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