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ほら、こういう場所で働いているのって天使様が相場じゃないですか」
「人間も確固とした理由があればこうして働けるんですよ。…その分天国に行くのは遅くなりますが」
「な、なんというか…とても現実的なシステムなんですね…」
「そういう貴方は自身が死んだと分かっているのに、随分と落ち着いていますね」
「本当なら僕、もっと早くに死んでいた筈なんです。
神様が僕を祝福してくれたから、死後の備えも、死への心構えを持つ事も出来ました。
…だからなのでしょうね。
僕が死んだと聞かされても、ここが死後の世界だと言われても、あまり動揺はありません」
「まだお若く見えるのに、随分と達観しているのですね」
「まぁ、死に近い環境で働いていましたから」
「…電車はまだ来ません。
よろしかったら、貴方のお話を聞かせて下さいませんか?」
「ええ。構いませんよ。
…あ、もし良かったら、貴方の事も教えて下さいませんか?」
「ええ、良いですよ」
「それじゃあ…あー…まずは僕の事を。
少し長くなりますが…まぁコーヒーを飲みながら聞いてもらえれば幸いです」
「僕は生前、ある国家の医療研究所である病気の研究を行っていました」
「どんな病気の研究をなさっていたんですか?」
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