終着駅

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「細菌が原因で数年から十数年掛けて心臓の機能が失われる病気です。  保菌者との粘膜接触、体液の摂取、親からの遺伝が原因で感染し、潜伏期間は数週間から数十年。  発症率は十パーセントを下回りますが、発症すれば致死率は百パーセント…助かる術はありません。  僕は、そんな病気の特効薬の開発に携わっていました」 「それは…とてつもない偉業に携わっていたのですね。感服です」 「いやぁ…僕はそんな立派な人間じゃありませんよ。  僕はただ、自分が助かりたかっただけなんですから」 「…それでは、貴方も…」 「…僕の母は、この病気が原因で亡くなりました。  この病気が遺伝により発症する確率は数パーセントなんですが、運悪く僕は発症してしまいまして。  幸い僕は人並みよりかは頭が良かったので、この病気の特効薬開発チームの一員として勤める事が出来ました。  その時には既に発症していましたから、この体を実験台として提供する事も出来ました」 「それで、その、特効薬は…」 「ご安心を。この病気への特効薬はチームのみんながちゃんと完成させてくれました。  まぁ結局僕は間に合わなかったんですけどねー」 「…そんな…なんて…なんて残酷な…」 「…まぁ確かに、ハッピーエンドには程遠いかもしれません。     
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