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この体を実験台として提供した後、造られた特効薬の試作品を投与され続けたんです。そのせいで病気の進行が早まってしまって…。
あと少しで完成しそうという時に、僕の心臓の機能は完全に停止してしまったんですよ。
でも心臓を提供して下さった方がいらっしゃったんです。
その心臓があったから、特効薬は完成しました。
…とっても、僕が生きている間には完成しなくて、僕の死体から偶然特効薬が出来たそうですけど。
…ええと…そうですね。
今になって考えてみれば、その過酷な日々も、死んでしまった事も、これから先発症するであろう数千、数万の人命を助ける礎になったと思えば、なんの事はありませんよ」
「…立派な、方なのですね、貴方は」
「本当に凄いのは研究を完成させてくれたチームの皆さんのおかげですよ。
僕一人ではこの命をただ使い潰すだけでしたから」
「それでも、貴方は、立派な方です。
天使様から聞きました。
人間は余程の事が無い限り、誰かの為に自らの意志で自らの命の火を消す事は出来ないのだ、と。
貴方は、それを実行したのです。
その行いが立派ではないとするのならば、いったいどんな行いが立派と言うのでしょう?
…それに比べて、私は…」
「そう言えば、貴方はどの様な経緯でここの駅のホーム員に?
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