終着駅

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 といっても買われた直後に眠らされてしまって、お金になりそうな臓器を取り出されて焼かれた事を死者になって知ったんですけどね」 「…それはまた…ご愁傷様です…」 「いえいえ。  魂だけになり、世界中を見て回って、この世界は広大だと…自分のいた世界はあまりにも矮小だったと思い知らされました。  天使様が「君は間違いなく天国に行ける」と言って下さいましたが、天国に行き転生してしまうと、私の全てがリセットされてしまうんだそうです。  だから私はこうして自分の存在に執着し、駅のホーム員になり、ここに来る死者達のお話を聞いている…という訳です」 「今までどんな方とお話を?」 「沢山の方と。  私と同じ境遇を辿った方もいらっしゃいましたし、私が想像も出来ない様な日々を送り大往生した方もいらっしゃいました」 「うーむ…興味深いですね…」 「…貴方から見て、私は無様な愚者に写っているんでしょうね」 「そんな事は絶対にありませんよ。  僕は生前、したい事をやり切って死ぬ事が出来ました。大往生ですよ。  でも貴方は違う。貴方は無慈悲な死によって未来の希望を、夢を、何もかもを奪われました。  それを否定して無様と笑う事は僕には出来ませんし、そんな事、したくありません」 「…優しいんですね。貴方は」 「ユウタと言います。  もしかして僕に惚れました?」     
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