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「多分ユウタさんが思っている以上に惚れていますよ?」
「あ……そ、そうですか…それは…恐縮です…」
「…私の臓器、どこに行ったんでしょうね」
「そんな奪い方をするという事は闇ルートに流れたんでしょうね…。
…もしかしたら、僕を生かしてくれたこの心臓も、貴方から奪った物なのでしょうか…」
「それなら構いません。
ユウタさんの様な人を生かす事が、私が死んだ理由だったのだとしたら。
…私の死は決して無駄では無かったと、少しは誇りに思って胸を張る事が出来ますから」
「…とても強いのですね、貴方は」
「アイリッシュと言います。
もしかして私に惚れました?」
「多分アイリッシュさんが思ってる以上に惚れてますよ?」
「…………ありがとう、ございます」
そうして暫く、僕とアイリッシュさんはお話をして。
他愛無い話。
好きなコーヒーの銘柄や、僕の研究の事、アイリッシュさんが出会ってきた人の事。
沢山、沢山話して。
「…………あ、もうすぐ天国行きの電車が来る時間ですよ」
アイリッシュさんはポケットから懐中時計を取り出して時間を確認する。
すると、海を滑る様に電車がやって来て、扉が開く。
ああ、もうそんな時間なんだ。
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