終着駅

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 出来ればもう少しアイリッシュさんとお話をしたかったけど、アイリッシュさんには駅長という仕事がある、この電車には乗らないだろう。  電車に歩み寄り、  電車に乗り、  駅のホームを見る。  アイリッシュさんはいない。  横を見る。  僕の隣に、アイリッシュさんが立っていた。 「……天使様に報告ですか?」 「いえ、報告は駅長室に電話があるので、それで」 「…では…」 「私、もう天国に行こうかと思いまして」 「またどういう心の変化で?」 「満足しました。心残りはありません」 「いやそんなあっさり…」 「あと、それ以上にユウタさんともっとお話がしたいんです」 「…本当に良いんですか?  この電車、僕の予想だと折り返しはありませんよ?」 「それぐらい知ってますよ。  私、駅長なので」 「駅長がいなくなったあの駅はどうなるんですか?」 「もともと「好きな時に乗ると良いよ」と言われていたので、すぐに代わりの方がいらっしゃると思います」 「なんてふんわりとしたシステムなんだ…」 「立ち話もなんですし、良かったら座りませんか?」 「そうですね。  アイリッシュさんのお話、もっともっと聞きたいので」 「奇遇ですね。  私も、ユウタさんのお話をもっともっと聞きたいです」 「それじゃあ何から話しましょうか…」 「ユウタさんがいた国のお話を。  ユウタさん、日本人ですよね?」     
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