第1章 3.記憶のカケラ

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ゆらゆら。 波の上で揺られるような感覚。 (あれ…?ここは…。) そこは、立派なお城の中の一室。 天蓋付きのベッドや、大きなドレッサーがある。 部屋の中央にある白いテーブルには、黄色の花が3輪、花瓶に生けられている。 ミーナは窓から外を眺めていた。 窓からの景色は白くボヤがかかって見えない。 ミーナの容姿は少し幼く、髪も肩につくくらいに短い。 (見覚えのある場所…私がいる…これは夢…?) そこに、ドアをノックして一人の女性が入ってきた。 20代後半に見えるその女性は、髪をスッキリとまとめ、ワンピースに白いエプロンを付けどことなく品の良さがある。 手にはトレイにのせたカップを持っている。 『失礼します。ミーナ様、庭園で採れたカモミールティーをお持ちしました。』 『ありがとうリサ!私、カモミールティー大好きよ!』 優しく微笑むリサの方へミーナは振り返り、親しそうに話した。 胸元では紋章の刻まれたペンダントが光りを反射する。
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